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社長の対談 〜寺田一清さん〜
2006/05/22 10:18:37
  よみうり情報・住吉2001年3月より 

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★ゲスト寺田一清さん <不尽叢書刊行会代表>

★ホスト 氏田 耕吉 (ウジタオートサロン代表取締役)

寺田一清さん氏田 耕吉あいさつの
」は、あかるく、「」は、いつも
」は、さきに、「」は、つづける


<不尽叢書刊行会>についてのお問合せは

〒596-0056岸和田市北町1−22

TEL 0724-37-4405

 FAX 0724-37-2509

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「人生二度なし」という命の根本に思い至るには

親や目上の自覚者が「形から入る」ことを先にし続ける以外にない

氏田 「人生二度なし」という短い言葉が寺田さんのお話に良く出てきますが。

寺田
 「人生二度なし」という言葉は私が二十八年間もご指導いただき、深く尊敬している森信三先生の人生訓です。小学生でも分かる言葉ですから、最初は私も「わかりきったことではないか」と思いましたが、年輪を加えるにつれてわかる程度の深さが深くなってきます。誰もが納得する「絶対の理(こだわり)」はこれしかありません。「生まれて死ぬ」ということは例外のない真実です。しかも「二度とない人生」であると共に、「二人とない人生」なのです。私達はそれを思わないで眼前のことにあくせくして毎日を過ごしています。

氏田 人間は真実をどうしても見失いがちなのですね。

人生2度なし

寺田 わかりきったこと、当たり前の事が大事なのですが、それを軽く扱うのが人間の悲しい性癖です。「人生二度なし」だから、「永訣の予行演習」という言葉が生まれてきます。「永訣」とは永遠の決別(別れ)の意味で、一瞬一瞬を「永訣の予行演習だから」という覚悟で生きていくのです。そして「死の絶壁」にボールを投げて返ってくる力を生きるエネルギ−にするのですと教えられています。

氏田
 私も五十歳になって、「人生二度なし」と言う言葉の理解の深さが全然違ってきました。こういう言葉はこれからの時代の人達に受け継がれていくのでしょうか。

寺田 今の人には科学技術の発達による便利さになれ過ぎて、「人生二度なし」、そして「命を賜(たまわ)っているありがたさ」をしみじみ実感し、命の根本に思い至る機会が無くなっています。それがわかるようになるためには、まず形の上からスタートする以外にありません。森先生は「朝のあいさつをする」「呼ばれたらハイと返事をする」「はきものをそろえる、席を立ったらイスを入れる」の三か条を言っておられます。それに二つを加えて「いただきます」「ごちそうさま」の五つの基本をまっとうするしかないのです。幼児でも習っている当たり前のことですが、命の根本に思い至るには、一生かけてこれを繰り返し繰り返しやるしかないのです。

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氏田 先日成人式で若者達が騒いだ事件がありましたね。その後に若者達が市長に謝った経過を見ると、現代の若者も分かってくれるような淡い期待もあるのですが。

寺田
 今度の成人式の事件ではっきりしたことは、基本の型というものを学ばないといけないということです。「話を聴きたくなくても聴く」という、形から入らなければいけないのです。「形から入る」と言うと、親や上のものが押し付けると考えがちですが、そうではなくて、まず親や目上の自覚者が「形から入る」ことを先にし続けることが大切です。

朝起きた時には親が子どもに「おはよう」、職場では上司が「おはよう」とあいさつするのです。
あいさつの

「『あ』は、あかるく」
「『い』は、いつも」

「『さ』は、さきに」

「『つ』は、つづける」
です。

百日間続けると子どもは自然に「お父さんおはよう」と言うようになり、社員は「社長、本気でやっているな」となります。「受け入れ態勢」が出来るのです。相手の心に受け入れ態勢ができていないのにお説教をするのは、伏せたコップにビールを注ぐようなものです。入らないだけでなく辺りを汚すだけです。コップを上向けにして水が入るようにしなければなりません。

そのためには、先に親や社長など目上の人間がまず「形から入って」、あいさつをすることが大切なのです。
教育は手間のかかる事業で、口で言っては教育になりません。「説教しない、小言を言わない」、これが教育には最も大事で、教育する人自身が黙々と自分が出来る範囲の事をやることが大切なのです。

寺田一清さん

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日本人の大事な価値観がすっかり流されてしまったように見える
 しかし『回帰運動』がもうすでに始まっている

氏田 経営者は、「いかに短い時間に教育をして、事業に生かして、収益をあげて」と考えるのですが、まず経営者自身が自分を教育しなければならないのですね。

寺田
 ほんとうの教育が行われているのは幼稚園だけです。小・中・高、大学になるとどこもやっていません。そうやって育てられた若者を再教育するのは企業です。現代は「企業が教育の最後の砦」です。社長さんがみんな教育者になっていただかないといけないのです。学校の先生の中には、本物の教育をしてもしなくても、決まった給料が入りますから、本気で教育に取り組んでいない人が増えています。学校が荒れていても、自分の責任としてかかわらないで、校長や学校や親のせいにしています。

企業のトップはそうは行きません、自分自身や企業の存続にかかわってきます。

教育者よりも企業の社長さんの方が危機感をもっています。熱心にならざるを得ないのです。私の尊敬する経営者であり、日本を救う偉大な教育者である鍵山秀三郎さんは 「万策尽きてこの一手あるのみ。まず足元の掃除から」と言っていますがこれしかありません。
 戦後五十五年の間に私達の祖先が大切に育ててきた大事な価値観がすっかり流されてしまったように見えます。しかし心配しなくても「回帰運動」がもうすでに始まっています。川の流れは、表面はいつも同じようにザーッと流れているように見えますが、底の方では、水は逆流して上に上がっていっています。小さく回る動きもあれば、大きなうねりもあります。万物すベて循環・回帰です。

氏田
 そうでしょうね。このままでは日本はどうにもなりません。

少し安心しました。寺田先生は森信三先生の教え、また寺田先生の数えを慕って来られる方のための勉強会を開かれているとお聞きしていますが。

寺田
 森信三先生の天王寺師範での講義をまとめた「修身教授録」を中心に読書会を開いています。五十二回目を迎える「天窓読書会」をはじめ、「奈良みずえ読書会」「名古屋立腰読書会」「陽光読書会」などに参加し、「不二読書会」は堺でもはじめたいと思っています。また「天分塾」という人間教育の塾にもかかわっています。


氏田 多くの方が参加して欲しいですね。ありがとうございました。

 
   

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